この本を読むべき人
- 運動不足を感じている方
- 運動しなきゃなと思っているけどめんどくさいと感じている方
- 漠然と体調が悪いと感じている方
- 気分が落ち込んでいる方
概要
今回はキャロライン・ウィリアムズ著、梅田智世訳の「MOVE この自然な動きが脳と体に効く 最新科学が明かす『人間本来の動き』」(以下「MOVE」)という本です。
この本では人間の進化をさかのぼり、人間は本来どのような動きをする生き物なのか、その動きが現代でどのような効果をもたらすのかを分析しています。
現代の人は、デジタル技術の発展により1日を座ったまま過ごすことが多くなっています。
例えば、通販を使って座ったまま商品の購入ができたり、映画館に行かずに映画も見れますよね。
ましてや仕事もデスクワークが一般的です。
「MOVE」では、座っている時間が長い人ほどメンタルの不安定さや認知能力の低下が起きると述べられています。
それを防ぐために「自然な動き=立つ、歩く」が重要で、ポイントをおさえれば室内の散歩でも一定の効果があるのではないかと考察できる内容となっています。
要約
人間は散歩をしながら思考する生き物
人間の祖先は木の上で生活していました。
しかし、気候の悪化により木の上では食料が得られにくい状況に陥ります。
そこで人は歩き始め、食料を探すために遠出をするようになったのです。
さらに狩猟をするようになり、獲物を狩るために思考を始めます。
これが人が歩き、思考する生き物になった過程です。
その結果、運動をすると脳が反応して物理的に用量をなすという仕組みが、ヒトの生理的特性になったとレイチュレンは言う。
「MOVE」31ページ
散歩はIQやメンタルヘルスの悪化を防ぐ
「MOVE」によると、現在は過去と比べて座って過ごす時間が長くなっており、IQの低下やメンタルヘルスの悪化が増加してるそう。
また、運動をすることがそれらの悪影響を防ぐことも明らかになってきているそうです。
ヒトの進化の過程を考えると、散歩をするだけでもその効果が得られるのだとか。
本文から考察すると、外で散歩をするほうが一番恩恵を受けられるが、室内で歩くだけでも一定の効果は得られるのではと考えられます。
ただし、その散歩にはちょっとしたコツが必要で、気になる方はぜひ本書を手に取っていただければと思います。
リズムに乗るとメンタルが安定する
ある一定のリズムのって体を揺らしたり、ダンスをするとドーパミンが放出されて心地よい気分を感じられます。
体を揺らすだけでも効果があるのは、三半規管が快楽中枢とつながっているのが理由です。
わたしたちがブランコやジェットコースター、あるいは自転車に乗って猛スピードで坂を下るのを好む理由はそこにあるとトッドは言う。
「MOVE」140ページ
わたしは学生時代にダンスをしており、当時を振り返ると確かに嫌なことを忘れられ、心が落ち着いていた気がします。
また、「MOVE」ではダンスがうつ病の改善、自己認識、全般的な自信も改善できるという研究があることも述べられています。
「体を動かす」ことは、私たちが思っている以上に重要な要素なのかもしれませんね。
簡単なストレッチはリンパマッサージと同じ効果があるかもしれない
朝起きた時、長時間同じ姿勢で過ごした時、グッと体を伸ばすことはないでしょうか。
実はそれが体内の炎症を抑え、毒素を押し流す効果があるかもしれないと「MOVE」で述べられています。
体の中に「ファシア」と呼ばれるスポンジのような結合組織があり、そこには体液が貯留しているそうです。
伸びなどの簡単なストレッチをするとファシアが刺激され、その溜まっている体液が循環し、リンパ系へも流れることが示唆されています。
まだはっきりとした研究結果はないそうですが、もしかしたら「リンパマッサージ」のようなものを受けなくとも、ちょっとした動きで体内のメンテナンスができるかもしれません。
感想
今まで読んだ本の中でも、個人的ランキングで上位に入るぐらい興味深い内容でした。
この本を読んでから、読書をするときは立ったまま読んだり、家の中を歩きながら読んだり、定期的に「伸び」をするように意識しています。
また、外出するときに「MOVE」で書かれている歩き方を意識してみると、不思議と心が落ち着くような感覚もありますね。
体を動かすことは認知機能の低下を防ぐ効果もあり、老後のためにも座って過ごす時間をなるべく減らしていきたいものです。
まとめ
座りすぎの現代の生活に、人間本来の動きを取り入れることで生活の質が上がるという内容の本です。
「最近気分がおちこんでいるな」と感じている方はいないでしょうか?
そんな時には、その場で立ち上がり散歩に出かけてみてください。
外出が億劫であれば部屋の中を歩いたり、好きな音楽に合わせて体を揺らしてみましょう。
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