突然ですが、皆さんは世の中の常識についてどうお考えでしょうか。
今まで教わってきたことや、多くの人がしていることが正しいと思い込んでいませんか?
「○○歳までに結婚したほうがいい」
「子どもはいつ考えてるの?」
「親にそういわれたから」
「学校で教わったから」
「みんながそうしてるから」
周りから根拠もなしにいろいろ言われたことがある方がほとんどではないでしょうか。
それはただの思い込みであり、場合によってはあなたの人生を無駄にする可能性もあります。
なぜなら、私自身が思い込みに囚われて学生時代の貴重な時間を無駄にした経験があるからです。
常識を疑って考え直す力を身に着け、自分を犠牲にしない生き方を手に入れましょう。
この記事は「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す」(アダム・グラント 著 楠木建 監訳)を参考に執筆しています。
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THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す (単行本) [ アダム・グラント ]「THINK AGAIN」を読むと学べること
「無知の知」こそが柔軟な思考
無知の知
「無知の知」とは古代ギリシャの哲学者であるソクラテスが提唱した概念であり、「自分がそれを知らない」ということを自覚するという意味があります。
もっと簡単に言うと、知らないことは知らないと素直に認めましょうということです。
「THINK AGAIN」ではこの「無知の知」こそ最大の知性であり、柔軟な思考の元であることを示しています。
欠点を自覚することで懐疑への道が開かれる。欠けている知識を問うことで、自分が持たない情報に対する好奇心が生まれる。
(中略)
知識がパワーであるなら、無知に気づくことは英知といえるだろう。
「THINK AGAIN」53ページ
私は知らないことがあると無意識にとことん調べてしまう癖があります。
特にアニメや漫画の登場人物について、性格や得意技、他の登場人物との関係性などをどうしても知りたくなってしまいます。
これが恐らく「自分が持たない情報に対する好奇心が生まれる」ということなんでしょうね。
もちろん仕事をしているときでも同じで、知らない言葉が出てきたらとりあえず調べてしまうことで新たな学びにつながるわけです。
ですが、ここからの考え方が柔軟な思考に繋がるかどうかの分かれ道になります。
ファットキャット症候群
(前略)
地位や名声や力に執着する「ファットキャット症候群」(成功により自己の無能さを認めなくなり、機会を見失うようになる精神状態)に陥り、現状に満足し、自分の考えを疑うことも信念を試すこともしなくなる。
「THINK AGAIN」54ページ
つまり、知識(=力)に執着すると頭の堅い人間になりかねないということになります。
皆さんの周りに、意見を述べても「違う!今までこうしてきたからこのやり方が正しいんだ!」と頭ごなしに否定して意見を押し付けてくる人はいないでしょうか。
もしそういう頑固な人がいたら「太った猫ですね」と心の中でつぶやき、反面教師にしてしまいましょう。
では、どうすればファットキャット症候群にならずに済むのでしょうか。
それは無知の知を忘れず、自分を疑うことです。
「THINK AGAIN」では、ここまでの一連の流れを「科学的な思考による再考サイクル」
としています。
一方で、ファットキャット症候群に陥った場合は「過信サイクル」が働き、柔軟な思考ができなくなってしまうのだそう。
私も過去を振り返ると、TVやニュースで言っていたことや有名人・インフルエンサーが言っていたことを真に受け、知り合いに自慢げに「これって○○なんだって!」と言っていたことがあります。
後になって「科学的根拠はなし」とわかったりしたときは非常に恥ずかしい思いでした。
今では「THINK AGAIN」を読んだおかげもあり、常に「本当だろうか?」と考えて自分で調べたり、自分が発言することに関しても「合っているだろうか」と振り返るようになりました。
私は現在20代後半ですが、年を重ねても「再考サイクル」を崩さないようにしたいものです。
実は頑固だったスティーブ・ジョブズ
現代では必要不可欠と言っても過言ではないiPhoneは、スティーブ・ジョブズが作ったと一般的には知られています。
しかし、実際はiPodを携帯にすることを提案したのはアップルの従業員チームであり、ジョブズはその案についてチームを罵倒し断固拒否していたのだとか。
「Think different」-「発想を変える」方法をジョブズは知っていたが、多くの再考をしてのは彼のチームだった。
「THINK AGAIN」55ページ
従業員チームはある方法を活用して粘り強くジョブズを説得した結果、ジョブズがそれを受け入れて見事iPhoneが誕生したそうです。
私は従業員チームの説得方法も含めてこのエピソードがとてもお気に入りで、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思っています。
偽物の自信に惑わされるな
アームチェア・クォーターバック症候群
プロスポーツ選手の試合を見ていて、「あそこで攻めれば勝てたのに」とか「そこで選手交代すればもっとうまくいったのに」などと感じたことはありませんか?
このように自分の能力以上の自信を持ってしまうことが「アームチェア・クォーターバック症候群」なのです。
(前略)
あたかもフィールドにいる監督よりも知識があるようにあれこれ口を挟んだり、ゲームの流れを非難したりする人がいる。そのような人は「アームチェア・クォーターバック症候群」(アームチェア・クォーターバック=口先だけのゲーム観戦者)の傾向がある。
「THINK AGAIN」68ページ
こころあたりはないでしょうか。
私はバリバリにあります(笑)
学生時代はテニスをやっており、同時にテニスの試合をよく見ていました。
私のテニスの腕前は素人に毛が生えた程度でしたが、試合観戦のときには「そこで右に出れば!」「なんでストレートに打たないんだ!」とトッププロの選手に対して内心思ったことがあります。
文字を書いているだけでもいたたまれない気持ちになってきました…
この文を読んで「選手のことを理解していないのによくそんなこと思えるな」と思いませんでしたか?
そう思った方は「私は絶対にそう思ったことはない!」と言い切れるでしょうか?
もし言い切れるのだとしたら、柔軟な思考が足りていないかもしれません。
ダニング・クルーガー効果
簡単に言うと、付け焼刃の知識だけで全てを知ったように勘違いしてしまうことであり、アームチェア・クォーターバック症候群の原因ともいえる効果のことです。
私は今でもこれに惑わされそうになることが多く、本を1周しただけで完全に理解したんだと勘違いしそうになります。
「THINK AGAIN」ではこのように説明されています。
(前略)
能力の低い人は多くの状況において、自己の不適格性を認識できないという。
この効果によると、人は能力が欠如している時、自信過剰になる傾向にある。
「THINK AGAIN」70ページ
私はこの本を読んで以降、自信満々に何かを語っている人をみると「この人はどこまで理解しているのか、本当に正しいのか」と懐疑的になります(疑心暗鬼とは違います)。
そうすることで自分が知らなかったことを知ることができ、正しい情報であればその人は信用していいんだと判断できるのではないでしょうか。
「不安」や「自己否定の感情」が謙虚さを保つ
「アームチェア・クォーターバック症候群」と反対にあるのが「インポスター症候群」であり、実力があるにもかかわらず、不安や自己否定の感情から自分を過小評価することをいいます。
「THINK AGAIN」では過大評価と過小評価の両立が可能であり、それらのバランスを保つことが重要であると説明しています。
将来の目標に達するのに十分な能力が備わっていると自信を持ちながら、そのための正しい手段は何かと現在の自分に問う謙虚さを持つことは可能だ。そう、それが最適な自信レベルである。
「THINK AGAIN」80ページ
私は自分自身を振り返ると、まだ過小評価の度合いが強いと感じています。
ありがたいことに周りからはいろいろ評価していただけることが時々あるのですが、あまり納得できず自信を持てません。
どうやら、私は再度この「THINK AGAIN」を読む必要がありそうです。
皆さんも自分自身を振り返ってみてください。
失敗やミスを認めることが学びを得るための唯一の方法
固定観念を捨てる
冒頭でも述べた通り、昔から言われてきたことは思い込み=固定観念となって、私たちの思考を邪魔してきます。
(前略)
まるで、私たちの頭の中には小さい独裁者がいて、真実が思考に流入するのを制御しているかのように。
(中略)
内なる独裁者は、過信サイクルを起動させることにより思考をコントロールする。
「THINK AGAIN」99ページ・101ページ
「内なる独裁者」が固定観念のことですね。
「過信サイクル」は自分のことを疑わず、他の考えを受け付けない状態だと説明されています。
これを取っ払うことで視野が広まり、様々な考え方ができるようになるのです。
過ちを認める
「自分が何かを学び得たかどうかを知る唯一の方法は、自分の過ちを発見することだ」とダニエル・カーネマンは言ったが、全くその通りだと思う。
「THINK AGAIN」103ページ
私もその通りだと感じています。
皆さんは子どもの頃サンタさんがいることを信じていたでしょうか。
12月になると多くの子どもたちがプレゼントを心待ちにしていたことでしょう。
その後ある程度年を重ねていくと、「サンタさんは両親が扮していた」などの事実を知ることになります。
この体験をした方は「そうだったんだ」という感覚になったのではないでしょうか。
これが「自分の過ちを発見する」ということに近いんじゃないかと思っています。
これを普段の生活や仕事に置き換えると多くの新しい発見と出会い、成長につながるはずです。
新しいことを知るって楽しくないですか?
固定観念を捨てて過ちを認めるには
「THINK AGAIN」では「固執を分離(デタッチ)」することが、過ちを認められるようになるための方法だと説明しています。
私は調べるうちに、2種類のデタッチメントがとりわけ有用だとわかった。1つは、現在の自分を過去の自分から分離すること。もう1つは、自分の意見や考えを自分のアイデンティティから分離することだ。
「THINK AGAIN」104ページ
私は過去の自分が大嫌いで、1つ目のデタッチメントならなんとなくできている気がします。
振り返ってみると、私は相手の意見を受け入れず自分の意見を押し付ける頑固者でした。
そう思うと過去の自分には会いたくないですね(笑)
一方で2つ目のデタッチメントについては、まだ理解しきれていません。
直感で感じたことを自分の価値観と比べる、切り離して考えるということでしょうか…
本を実際に読んで「こうじゃないか」と考えがまとまった方がいれば、ぜひ共有していただきたいです。
柔軟な思考は相手の再考を促す
自分の意見を言うだけなのは子どもの口喧嘩と同じ
子どもの頃、よく友達と言い合いになったものです。
なんなら大学生時代にも同級生と自分の意見を言い合った記憶があります。
しかし、これは建設的な話し合いとは言えません。
「THINK AGAIN」ではこのように表現されています。
よいディベートは、いわばダンスだ。相手の次のステップを想像しながら、自分の動きを調整する。
「THINK AGAIN」168ページ
要は相手を尊重して受け入れた後、改めて自分の意見を主張するということです。
お互いが一方的に意見を主張すると、「こいつは敵だ」と認識してしまい尊重・受け入れるという思考ができなくなってしまうのだとか。
実際、何か意見を言った時に「なるほど。そういう考えもあるんだね。」と言われたほうが話しやすくありませんか?
おそらくそういうことなんだなと私は感じました。
論拠を述べるときは「数よりも質」
「一流の交渉人」が実践しているポイントの1つに「論拠の提示が少数」というのがあります。
しかし、一流の交渉人が行ったのは、全く逆だ。彼らは、自分の主張の論拠を、ごく少数しか提示しない。
「THINK AGAIN」169ページ
たくさんの論拠をさらっと説明するよりも、少ない根拠を詳細に説明するほうが説得力がより強くなるのだそう。
自分と反対意見を持つ人が、間髪入れずに情報を提示してきたとしたら皆さんはどう感じますか?
私は「この人は私の意見を聞いてくれそうにない。自分が正しいと思っている人だ。」と警戒心を感じます。
そのため、相手の意見を受け入れ、丁寧に意見を主張することで相手にも考える余地を与えることが建設的な議論をするためには重要なんですね。
まとめ
この「THINK AGAIN」は、情報過多にある現代において冷静に物事を考えるために役立つ本だと思っています。
私は記事の中で「過去の自分が恥ずかしい」というようなことを書きましたが、年齢を重ねてからこの本を読むとかなり心にグサッとくるかもしれません。
今のうちに「THINK AGAIN」を読んで柔軟な思考を身につけ、のちの若者から「あの人は頭の柔らかい物わかりの良い人だ」と慕われるような人になりましょう。
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